水は0℃から4℃までは温度の上昇とともに体積が減少する。そして4℃から温度が高くなるにつれて体積は増加していく。
 同じ重さの水で比べたとき、4℃の水が最も体積が小さいことになる。
 この体積が最少の水1000cm3の重さを1kgとするのが、今のキログラムの定義のもとになったものである。
 また、1グラムの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を1カロリーとするなど、カロリー、比熱、潜熱 および質量の単位、重さの定義などの基準としても、用いられている。
 そこで水が作り出すエネルギーについて考えてみる。

水のチカラ

エネルギーの単位一般
水の熱エネルギー
水の熱エネルギーを活用する
水の運動・位置エネルギー
水力発電のしくみ など

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エネルギーの単位一般(SI単位とベルヌーイの定理)


 力・圧力
  SI単位において、力はN(ニュートン)、圧力はPa(パスカル)で表示され、
  従来単位との関係は次の通り。
   1N=1kg×1m/s(質量×加速度、…重量の加速度9.8J)
   1Pa=1N/m2
 仕事・熱量
  仕事は、力と距離の積で表され、SI単位ではJ(ジュール)を用いる。
  仕事と熱とは、等価のエネルギーであり、熱量もジュールとされる。
   1J=1N×1m 
      1ジュールとは:1ニュートンの力が働いてその方向に1メートル
              動かしたときの仕事量に等しい
 動力・流量
  単位時間当たりの仕事を仕事率または動力といい、W(ワット)を使用する。
  また、時間単位に流れる熱量もワットという。
   1W=1J/s
 比熱
  質量1kgの物体の温度を1K上昇させるのに必要な熱量を比熱(J/kg・K…または℃)
  という。
 ベルヌーイの定理
   完全液体が定常の流れを保っているときは、一つの流線に沿って、その流れのどの断面においても
   運動エネルギー・位置エネルギー・圧力エネルギーの和は一定である。
 熱力学の第一法則(エネルギー保存則)
   「熱」と「仕事」は、同じエネルギーの一種であり、熱から仕事へ、逆に仕事から熱へ変換でき、
   そのトータル量は不変である。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ■水のエネルギー単位
 水の重さ
  1リットル・1000cc・1000cm3=1Kg
              (1m3=1トン)
 水の比熱
  1kcal/kg・K=4.186J/kg・K

水の熱エネルギー

 物質の3様態
 物質は、−固体−液体−気体−の三つの状態のいずれかである。その状態に応じて内部に熱エネルギーを蓄えている。
 「熱」と「仕事」はこの内部エネルギーの変化量である。内部エネルギーは温度・圧力などでその状態が決まる。
 水の場合、例えば、寒い朝には水は氷(固体)となり、温度が上がると氷は溶けて水(液体)となる。水に熱を加えると温度が上昇してお湯になる。更に熱を加えると水は蒸気(気体)となる。

 熱の移動
 標準大気圧のもとでは固体である「氷」は加熱量に比例して温度上昇し、0℃になると溶け始め氷が溶け終わるまで温度は変わらない。氷が溶け終わると「水」の温度は再び加熱量に比例して上昇を始め、100℃に達すると沸騰して蒸発を行う。蒸発が終わるまでの水の温度は100℃一定で、蒸発を完了すると「水蒸気」の温度はさらに上昇を始める。

 このように水は、熱量と比例して温度が変化する部分と、「固体から液体」、「液体から気体」へと相変化を起こし温度変化がない部分があり、前者を『顕熱変化』、後者を『潜熱変化』と呼ぶ。

   顕熱と潜熱
 物質は、原子や分子で構成されている。水は、氷の状態も、蒸気の状態も、化学記号ではH2Oである。固体である氷は通常6方晶系の氷結晶であり、各分子はお互いに引力で引き合っており、また、各分子は運動(熱振動)を行っている。このときの分子の運動は、温度に比例して絶対零度(0K)では動きが全てなくなり停止し、熱はなくなる。氷が溶けて水になると分子構造は全く変わり、氷結晶のような明瞭な規則性はなくなり、動きの自由度が大きくなる。更に温度が上昇して蒸発して水蒸気になると水分子の運動は一層激しくなり空気中に飛び出して拡散していく。

 すなわち「温度」とは、物質の分子等の運動エネルギーを表す尺度であり、ひいては物質の保有する熱量を表している。このような熱を「顕熱」という。また「氷が溶けるとき」、「水が沸騰・蒸発するとき」のように、熱が加えられても温度変化が生じない熱を「潜熱」という。潜熱は氷から水、水から蒸気のように、相変化に伴って生ずる熱であり、物質を構成している分子等を結合している引力(ポテンシャルエネルギー)に基づくものである。

 顕熱・潜熱 別の説明
 融解潜熱
 固体の分子間引力はかなり大きいので、固体が液体になるには多くのエネルギーを必要とする。このとき必要とする熱エネルギーを「融解潜熱」という。氷の場合、およそ334kJ/kg(約80kcal/kg)である。
 固体(氷)が液体(水)となって分子運動が大きくなっても重力に打ち勝つほどではない。したがって、水は容器やダムにの中に蓄えることが可能となる。

 蒸発潜熱
 液体(水)に熱エネルギーが加えられると液体の分子は更に激しく運動を始め、液体表面から飛び出してしまう。空気中に飛び出した分子は拡散し、他の空気分子と混合する。この時、「蒸発のための潜熱」が必要である。水の場合、標準大気圧ではこの「蒸発潜熱」は、およそ2257kJ/kg(約540kcal/kg)である。

水の熱エネルギーを活用する


融解熱を利用する
氷で魚やビールを冷やしているのは、この原理。
氷が溶けて水になるときの温度は0℃で、このとき氷1kg当たり334kJ(80kcal)の熱を魚やビールから奪う。

蒸発熱を利用する
夏場、庭に打ち水をし、水が蒸発して水蒸気になるとき、水1kg当たり2257kJ(540kcal)の熱を地面から奪うので涼しく感じる。
このように液体が蒸発のために必要な周囲から奪って気化していく状態を蒸発の潜熱とよび、エアコンの冷却器の中でも同様の現象が起こっていて、結果熱を奪われた室内の空気は温度が下がり冷房効果が得られる。(顕熱に比べ潜熱の方が大きな熱量として扱えるのでエアコンの冷凍サイクルでは主に潜熱の変化を利用している)

昇華熱を利用する
ドライアイスを空気中に放置しておくと、影も形もなくなって全て気体になってしまう。このように固体が気体になるときも熱が必要で、この熱を昇華熱という。

  水の温度変化と状態変化(イメージ図)

水の運動エネルギー、位置エネルギーを利用する水力発電

水力発電の出力は水量(重力)プラス落差(位置)





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水力発電の出力計算


水力発電の出力は「P(kw)=9.8QH」で計算される。
  Q:流量(m3/s) H:有効落差(m)
   *1kg・m/s=9.8J、1J=1ws

例えば、流量50m3/s、有効落差300m、損失落差3%、水車効率88%、発電効率98%の条件では..

9.8×50×291×0.88×0.98≒最大出力123,000kwの水力発電が可能となる。 (291=300m×0.97)

 なお、流量Qは落差Hの平方根に比例して変化するため、水力発電所は落差の確保に一際努力がされるのである。

水力発電のしくみ など


■水力発電のしくみ・発電の種類 ■ダムの種類 ■発電水車の種類

■中国地方の水力発電所■