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地球と水
命の水
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地球と水


  地球は水の惑星。地球上の生物が生きていけるのも水のお陰である。
 地球には約14億km3の水があると言われてる。この内、約97%が海水で、淡水は3%だけ。この淡水の大部分は北極や南極にある氷となっているから、私たちが利用することができる川・湖の水や地下水は地球上の水のわずか0.3%に過ぎない。
 日本は世界でも有数の多雨地域に位置し、年平均降水量は1714mm(S41〜H7平均)もあり、世界の年平均降水量970mmの2倍近くに達している。
 一方、全降水量を人口で割った人口1人当たりの平均降水総量をみると、5200m3/年・人となり、世界平均の27000m3/年・人の5分の1しかない。
 日本は中東のサウジアラビアやイランよりも少なく、必ずしも水の豊かな国とは言えない。
 さらに、降雨は梅雨や台風によるものが多く、地形が急峻で河川延長が短い我が国では、かなりの部分が利用されずに海に流出してしまい、水を利用しにくい状況にある。

 水は気体になる時に多くの熱(蒸発熱)を必要とする。また、水の比熱も大きいため、温度変化を起こしにくという性質がある。
 水は大気や大地と比較して温度変化が少ないことにより、地球上の気象現象が起こっている。また、水は保温性が高く、少量の水の蒸発により体温を調節できるため、生物にとって都合のよい物質であり、人間の体内で6割を占める物質となってる。
 まさに「命の水」と言える。

命の水

 
 水は生物の主要成分であり、生物の重さの60〜80%は水の重さである。
 細胞の構成要素でもっとも大切なひとつ、原形質は、脂肪、炭水化物、タンパク質、塩およびそのほかいろいろな物質が 水に溶けたもので、これらの物質の水溶液からできている。
 水はこのように溶媒として働いているが、さらに、これら物質の輸送、結合と分解にも関わっている。 ほとんど水でできているといってもよい動物の血液や植物の樹液は、栄養物の運搬や老廃物の除去を行っている。また、水はタンパク質や炭水化物のような非常に重要な物質の代謝や分解の鍵となる物質でもある。 生きている細胞で常に起こっているこの分解は加水分解と呼ばれる。
 ちなみに、人が一日に摂取する水の量はおよそ2.5リットル。一年間で1トンもの水を摂取していることになる。
 この量はおよそ一般家庭の浴槽約4杯分に相当する。

水の科学


 水の成分
 水には数多くの物質を多量に溶かすことができるという特徴がある。
 このために、天然には純粋な水はほとんど存在しない。 水蒸気が大気中で凝結して地上に降ることを繰り返すあいだに、大気中の二酸化炭素などの気体や、少量ではあるが有機物や無機物が雨や雪に吸収され地上に運ばれてくる。放射性物質が運ばれてくることもある。
 地表や地殻を動きながら、水は土壌や岩石中のミネラルを溶かす。 地表水や地下水に溶けている主なものは硫酸イオン,塩素イオン、ナトリウムやカリウムの重炭酸塩、カルシウムやマグネシウムの酸化物などである。 表面水には生活廃水や産業廃棄物も含まれている。 浅い井戸の地下水にはヒトや動物の排泄物からでる大量の窒素化合物や塩素が含まれている場合もある。深い井戸からえた水には普通ミネラルしか含まれていない。アメリカでは飲料水にフッ素をまぜている場合が多いが これは適量のフッ素が虫歯を防ぐことがわかったためである。
 海水には塩(しお)が濃縮されているが、塩以外にも多くの可溶性物質が溶け込んでいる。 また、いろいろな物質を溶かし込んだ河川や川の水がたえず海洋に流れ込んでいる。海洋では、蒸発によって純粋な水だけが常に失われて行くので、そのままでは海水を塩からい味にしている不純物の割合がどんどん増加していく。

 H2O・水とは?
 分子式H2Oで表せる分子の液体状態を水と呼ぶ。
 古代の哲学者は全ての液体を象徴する基本元素とみなし、この考え方は18世紀の後半まで続いた。
 1781年イギリスの化学者H.キャベンディシュは、水素と空気の混合気体を爆発させ水を作ることに成功した。 彼はこの実験でなぜ水が生ずるのか正しく説明できなかった。
 しかし、2年後フランスの化学者A.L.ラボワジェが水は元素ではなく、酸素と水素からできている化合物であることを確かめ、キャベンディシュの実験結果を説明することができた。
 1804年フランスの化学者J.L.ゲイリュサックとドイツの博物学者A.フンボルトは共同して、水素と酸素の体積比が 2:1の割合で化合して水が生ずることを示し、水の分子式H2Oが明らかにされた。 ほとんどすべての水の水素原子の原子量は1である。
 1932年アメリカの化学者H.C.ユーリーは、6000分の1という非常に僅かではあるが重水素と酸素からなる重い水、重水D2Oが存在していることを発見した。 重水の水素成分、重水素は原子量2の水素の同位体である。
 1951年にはアメリカの化学者A.グローセは、水素のもうひとつの同位体で原子量が3である三重水素、トリチウムからできている水分子T2Oも、極めて少量ではあるが天然水中に含まれていることを示した。

 水の性質
 純粋な水は無味、無臭、無色透明の液体である。標準大気圧、760mmHgでの水の融点は0℃、沸点は100℃である。
 水の密度は4℃でもっとも大きく、水が凍ると体積が増える。ほかの液体と同様、水も過冷却な状態をとり、融点以下になっても液体のまま存在することがある。 凍らせることなく水をマイナス25℃まで冷やすことは実験室でも大気中でも簡単にできる。過冷却状態の水は、ゆすったり、温度を更にさげたり、氷の結晶などの粒子をくわえると凝固する。
 水の物理的性質は、1グラムの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を1カロリーとするなど、カロリー、比熱、潜熱 および質量の単位、1グラムの定義などの基準としても、用いられている。
 水には物質を溶かす性質があるだけでなく、溶かした物質、つまり溶質のイオン化を促進する性質ももっている。 また、水はほとんどすべての物質をいくらかでも溶かすことができるので、万能溶媒とよんでもよいかもしれない。水は塩とむすびついて、塩の水和物をつくることもある。 金属の酸化物と反応して酸(→ 酸と塩基)を生じたり、多くの重要な化学反応の触媒としても働く。

水の不思議


温度をともなって起こる体積変化


液体の体積変化
 普通の液体では、温度が上昇するとともに体積はほぼ一定の割合で増加する。

 水の体積変化
 水はちょっと特殊な液体で、0℃から4℃までは温度の上昇とともに体積が減少する。そして4℃から温度が高くなるにつれて体積は増加していく。この様子を簡単なグラフに示すと右のようになり、同じ重さの水で比べたとき、4℃の水が最も体積が小さいことになる。この体積が最少の水1000cm3の重さを1kgとするのが、今のキログラムの定義のもとになったものである。
 水から氷になるときも体積の変化が見られる。氷になると、体積はおよそ1.1倍になる。これにより、膨張して軽くなった氷は水に浮く。
 水から水蒸気になるときは、体積は非常に大きくなる。この膨張(ぼうちょう・体積が大きくなること)の力を利用したのが蒸気機関である。

 

熱しにくく 冷めにくい


 人間の体内に流れる水の役割は、物質を溶かして運搬するだけではない。体温を保つという役割もある。
 これは、水の「熱しにくく さめにくい」という特性からで、水の「比熱容量が高い」ことによるもの。比熱容量とは、物質の温度を上昇させるのに必要なエネルギーのことで、単位は「カロリーまたはジュール」で表す。水の場合、重量1グラムを1℃上昇させるのに約1カロリーを要する。ところがほかの溶液はこの半分ですむ。

 比熱容量の低い物資は、鉄のように「熱しやすく 冷めやすい」ものだから、もし水が比熱容量の低い物質だったら人間の体温は気温によって簡単に左右され乱高下するだろう。すなわち、比熱容量が高いことは「エネルギーを貯めて置きやすい」ことを意味する。
【1カロリー≒4.186ジュール】







蒸発で熱を奪う


 都会のヒートアイランド現象を緩和するため「打ち水」をする運動のニュースが聞かれた。
 これも水の性質を利用したもの。水には蒸発するときに周囲の熱を大量に奪う性質があるのだ。
 水の沸点が100℃といことは周知のこと。他の液体と比べて沸点が異常に高く、気化しにくい液体である。つまり、気化するのに多くのエネルギーを必要とするのである。
 水1リットルが蒸発・気化するのに必要な熱量は実に540カロリー(2260ジュール)。これだけ多くの熱を周囲から奪うため必然的に温度が下がるというわけ。
 人間もこの特性を利用して汗をかき蒸発させることで体内の熱を放出し、体温の上昇を防いでいる。汗が乾くとき体がひんやりするするのは、このため。
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水の味


軟水と硬水


硬度
 水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を「硬度」と言う。わかりやすく言えば、カルシウムとマグネシウムがたくさん入っている水が硬水、少ない水が軟水ということ。単位はdH(ドイツ硬度)またはppm(アメリカ硬度)で表す。アメリカ硬度は、水1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウム(CaCO3)の濃度に換算した重量(mg:ミリグラム)。ドイツ硬度は、水100mリットル中の酸化カルシウム(CaO)の重量(mg)に換算したもの。ドイツ硬度とアメリカ硬度の関係は1dH=17.8ppmで表される。
 硬度の低い水を軟水、高い水を硬水と呼ぶ。日本では生活用水の80%が80ppm以下の軟水、地域によっては硬水を生活用水にしているところもある。

 理化学辞典では、硬度0から178未満を「軟水」、178以上357未満を「中間の水」、357以上を「硬水」と分類してる。しかし、これではわかりにくいので、近年では便宜的に、硬度が100未満のものを軟水、それ以上を硬水と呼ぶようになってる。また最近は輸入のミネラルウォーターが増え、さまざまな硬度の水が販売されるようになってきたので、同じ硬水でも硬度100〜300程度のものを中硬水と呼んで区別するようになった。

 硬度はまた、そのミネラルウォーターの用途にも大きく影響する。硬度100未満の軟水は、炊飯や和風だしをとるなど日本料理全般、そして緑茶をいれたりするのに適している。反対に硬水で炊飯をするとごはんがパサパサになったり、緑茶の味や香りが十分に引き出せなかったりする。硬度100〜300の中硬水は、洋風だしをとったり、煮物や鍋物をするのに向いてる。そして硬度300以上の硬水は、スポーツ後のミネラル補給や妊産婦のカルシウム補給、そして便秘解消やダイエットにも役立つ。


 

硬水の軟化法


 水中の硬度成分(Ca2+、Mg2+)のうち、炭酸水素塩は、煮沸すると
  Ca(HCO3)2→ CaCO3↓+CO2+H2O
 (炭酸水素カルシウム) (炭酸カルシウム)
の反応で沈殿するため、除くことがでる。
 炭酸水素塩として含まれる硬度を一時硬度とよび、煮沸によって除去できない塩化物や硫酸塩として含まれる硬度を永久硬度と呼ぶ。
 硬水の軟化法には上記の煮沸法(一時硬度のみ)の他にアルカリ法(水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いる)、イオン封鎖法(エデト酸塩などの金属イオン封鎖剤を用いる)、イオン交換法(イオン交換樹脂を用いる)などがある。
  

ミネラルウォーター


 ミネラルとは体の機能の維持・調節に必要不可欠な栄養素である。人の体の95%は有機物(酸素、炭素、水素、窒素)で構成されており、残りの5%が無機物・鉱物であるミネラルである。
 人体は無数の酵素の働きによりその機能を維持しているが、酵素を構成するのがミネラルで、酵素の働きを促進させるのがビタミン。ミネラルを摂取する時は同時にビタミンを取ることで体内への吸収、働きの促進がはかられる。だから同時に取ることが大事。

 ミネラルには現在わかっているだけで100種類以上存在してる。そのうち不足すると体の不調をきたしてしまうものを必須ミネラルと区別してる。必須ミネラルは必要量に応じて主要ミネラルと微量ミネラルに区分される。

一般的にミネラルウォーター類と称されるものにも原水の種類と処理方法によって4つに区分される

 
 ・エビアンやボルビック、ヴィッテルなど世界的に有名なお水はどれもナチュラルミネラルウォーター。
 ・日本だと六甲のおいしい水、南アルプスの天然水などがナチュラルミネラルウォーター。

酸性とアルカリ性


 よく耳にする「酸性」と「アルカリ性」。これを表す単位を「pH(ペーハー)」と言う。
pHとは、水素イオンの濃度…つまり、どれだけ水素イオンが含まれているかを数値化したもの。

 酸性かアルカリ性かというのは、H+(水素イオン)とOH-(水酸イオン)のバランスできまる。
 水素イオンが多い(pHが7未満)ほうが「酸性」で、水酸イオンの多いほう(pHが7以上)が「アルカリ性」というわけ。
 


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